佐 々 木 勝 敏 建 築 設 計 事 務 所   K a t s u t o s h i S a s a k i + A s s o c i a t e s



竪の家

住宅には、室名(機能)と体感(ヴォリューム)の関係がある。合理的であるが空間と暮らしを硬直した不自由な関係にしてしまうこともある。

スケールによって包み込まれる感覚やおおらかな広がりを感じる感覚が同居する場をつくりたい。この計画では、立体をつくる縦横高さを分

解し、居室の「幅」に包まれるようなヒューマンスケールを、「長さと高さ」に周囲の街並みや敷地から導いたスケールを用いて計画した。居室

幅は住生活のシュミレーションを繰り返し最小公約寸法として1.55mを有効寸法としている。幅1.55m奥行き13.5m高さ8mの気積が、柱梁一

体のT型構造体を挟んでふたつ並んでいる。小さな幅の中で感じる親密な感覚と、離れた場所にいながら空間を共有する感覚を同時に感じ

ること。場のスケールが人の移動や距離感によって伸縮を繰り返すこと。反復する構造体の間を人や光、風が自由に行き来することで、合

理性のなかに豊かさが生まれること。新たなスケールによって、両義的な新たな自由が現れた。上階の居室は、階段に合わせて少しずつ

位置をずらしながら螺旋状に配置した。床は居室の幅が狭いことにより、梁を必要とせず50mmの板によって支えている。それにより上下階

の関係は緩やかに繋がっている。柱間隔は日本で用いられる910mm間隔のモデュールを採用しながら構造体に幅55mm奥行き700mm

という新たなスケールを用いることで伝統的な寸法体系のなかに新しい空間体験が加わっている。構造体上部の間から射し込む自然光が

反射を繰り返し、やわらかい空気として内部空間を覆うこともあれば朝日や夕日が鋭く射すこともあり「自然光とスケールがつくり出す風景」

を躯体が支えている。

また、建物幅を絞ることで外部では母屋と事務所の間に余白が生まれている。家の周りにアクティビティが生まれやすいスケールにすること

で、暮らしや仕事が日常的に賑わいとして街の表情に繋がっている。ここでは住宅の用途を拡張し、ギャラリーやマルシェ、海外インターン

のための民泊を予定しており、個人住宅が用途を超えて世界とつながればと考えている。

Both the name of the room (function) and the cenesthesia (volume) affect residential architectures. Some are rational but leave the space and living in the rigid and inconvenient relationship. I would like to create the place where the sense of embracement and the laid-back breadth provided by the scale can coexist. For this plan, I decomposed the length, breadth and height that make up three-dimensional shapes, and designed the "width" of the room from the human perspective to give the embracing comfort, and the "length and height" from the landscape perspective in light of the streetscape and the premise. I used 1.55m as the smallest common denominator and the effective dimension for the width of rooms after the numerous simulation of housing lives. Two cubic capacities of 1.55m in width, 13.5m in depth and 8m in height sit next to each other over the T-shaped structure with the joint pillar/beam. Simultaneously feeling the close proximity the small width gives and the sense of sharing the same space even when the dwellers actually are in separate rooms. The scale of the place indefinitely expanding and contracting to accommodate the movement of people and their feeling of distance. The richness brought in the rationality by the unrestricted movement of people, light and wind inside the reiterating structure. The new scale has brought about the new freedom that can be taken two ways. The rooms on the upper floor are laid out in a spiral manner along the staircase, each at slightly shifted positions. As the rooms are narrow, the floor does not need the beam and is supported by 50mm boards. And the upper and lower floors are loosely connected by that. While I used the Japanese standard of 910mm module when spacing the pillars, I also used the new scale of 55mm in width and 700mm in depth for the structure to create the new living experience in the traditional dimensional system. The natural light coming in from the gap at the top of the structure reflects several times to embrace the inside with the soft ambience on some occasions, and the morning or evening sun shine in sharply on other occasions. The main structure supports the "scenery created by the natural light and the scale".
Additionally, the deliberately limited width of the architecture gives the comfortable margin between the living section and the office. The design at the scale that can easily induce activities around the house allows the everyday life and work, as the daily bustle, to connect to the atmosphere of the city. Here, the use of the residential architecture is expanded - a gallery, market and private lodging for interns from overseas. My intention is to make a private residence connected to the world beyond its original purposes.
面積 = 幅 × 奥行き


同じ面積であっても縦横比を変えることで空間の感じ方は大きく変わる。

面積や広さではなく奥行きをもって空間の広がりを計画する。
余白 / 外部空間の使い方

敷地は両親母屋と職場の間に位置している。

建物幅を狭めることで外部の余白が広がる。

暮らしは室内に留まらず外部空間と積極的に関係するものとして計画。

両親との共有庭での食事や職場側の路地での屋外展示など。

庭を街に開放しプライベートのパブリックの境界も曖昧に。
住宅に必要な幅

各居室における状況を検証し居室ごとの最小必要幅を導き、そのなかで最も大きな数値を全体に適用する。
住生活における最小必要寸法の検証
結論 : 1550mmの幅があれば住生活は可能である。



真新しさではない新しさ|外観は板張りの直方体。高窓から光と風を取り入れている。









 

 


人と街のスケール|幅は生活行為の検証から、奥行きは敷地の最大寸法、高さは高窓が近隣建物と干渉しないように導いた。


 

 

 


小さなスケールと大きなスケール|寸法は小さくても広がりを感じる。

 

 

 

 

 

 


内部の外部|ダイニングキッチンは庭とつながりを考慮し季節に応じて外で食事をする。

 

 

 

 

 

 

 


分けながらつながること|建物の幅が狭いため梁を必要としない板のみで上下を区画。

 

 

 

 

 

 


暗さの中にある明るさ|浴室は光の奥行きが現れる場所。       学びの場|空が眺められる位置に計画。視界は遠く高く。

 

 

 

 

 


小さくて広いこと|子供就寝スペースは3〜4畳程度だが視界は13.5m先まで広がる。

 

 

 

 

 

 


暖かい吹抜け|以前計画した住宅を元に計画したところ天井が高くても冬場は14度を下回らなかった。

 

 

 

 

 

 



■見学可能|設計依頼をご検討されている方は予約の上、内部の見学が可能です。

※面識のない同業者の見学はお断りしています。

■計画概要

作品名:竪の家

所在地:愛知県豊田市

主要用途:専用住宅+ギャラリーなど

家族構成:夫婦+子3人

設計:佐々木勝敏建築設計事務所

構造:寺戸巽海構造計画工房

造園:株式会社 園三 

施工:有限会社 豊中建設

主体構造:木造在来工法

階数:地上2階+ロフト

軒高:7440mm

最高高:8040mm(平均地盤面より)

敷地面積:184.00u

建築面積:54.60u

床面積: 1F -   54.60u 
       2F -   47.64u
     延床 − 102.24u

設計期間:2014年5月〜2017年5月

施工期間:2017年6月〜2017年12月


住まいの風景:随時更新