佐 々 木 勝 敏 建 築 設 計 事 務 所   K a t s u t o s h i S a s a k i + A s s o c i a t e s


竪の家

面積と広さの感じ方は一定ではなく、矩形の平面において面積を同じとした場合、(正方形と比較して)幅を絞り長さを確保する事で内部

には「奥行き」が外部には近隣との間に「余白」がうまれる。 敷地は両親母屋と施主の職場の間に位置しており建物を絞ることによって

うまれた外部空間によって親子3世代の暮らしや職住近接といったどこか懐かしい家族の関係が生まれるのではないかと考えた。

住宅に限らず部屋の広さは用途や行為に基づく人間工学から導かれた必要寸法を基本とし、そこに動線や空間的ゆとりを加えて面積が

決められる。リビングは広く子供部屋はコンパクトに計画するなど居室間のヒエラルキーもある。そういった住宅設計における前提がある。

この計画では広さの元となる必要寸法を居室ごとではなく全体で考え各生活行為を満足させる最小寸法を検証しその最大値を全体に

適用する方法を採った。最終的には居室幅を1.55mとし逆算して建物幅を決めた。幅を決めたら敷地内において可能な限りの奥行きを

確保し、高さは隣家の上部から高窓を通じて採光と通風が得られるものとした。

内部は直方体のヴォリューム内に厚さ55mmのT型構造体を910mm間隔で配置し構造体の間に収納、それ以外を吹抜け含む生活空間

として計画している。2階の居室は階段の踊り場が延長したように少しずつ位置をずらしながら螺旋状に配置している。床は居室の幅が

狭いことにより梁を必要とせず50mmのヒノキ集成板のみで支えられている。吹抜けのなかで床というより板が浮いたように架かっており

その上にそれぞれの生活行為が展開している。また生活機能に加え週末のギャラリーやマルシェ、ホームステイ用の宿泊スペースを

予定しており住宅というビルディングタイプが施主以外の暮らしにも繋がるものとして提案している。建築的な新しさというより、使い方を含

めた様々な固定概念への再考がこの計画での主題となっている。居室の幅を絞ることで生じた不都合(実際には無い)より空間全体から

得られる包容感や開放感の方が圧倒的に強く、過去の実例を元に計画した天井高7mのワンルームも冬場14度を下回らない予想以上の

結果となっており、梁の無い床は居室関係に不思議な連続的な体感をもたらし、T型の構造体は構造や収納といった用途だけでなく上部

から自然光を導き、留まることなく室内の風景を変えている。それらが重なり合うことで自然と建築や家族内など諸々の新たな関係や風景

の発見、 心地良さにつながっている。

面積 = 幅 × 奥行き


同じ面積であっても縦横比を変えることで空間の感じ方は大きく変わる。

面積や広さではなく奥行きをもって空間の広がりを計画する。
余白 / 外部空間の使い方

敷地は両親母屋と職場の間に位置している。

建物幅を狭めることで外部の余白が広がる。

暮らしは室内に留まらず外部空間と積極的に関係するものとして計画。

両親との共有庭での食事や職場側の路地での屋外展示など。

庭を街に開放しプライベートのパブリックの境界も曖昧に。
幅はどれくらい絞ることができるだろうか?

各居室における状況を検証し居室ごとの最小必要幅を導き、そのなかで最も大きな数値を全体に適用する。
住生活における最小必要寸法の検証
結論 : 1550mmの幅があれば住生活は可能である。


外観は板張りの直方体。高窓から光と風を取り入れている。
建物内は中央の構造体を挟んで2つに分けられている。



エントランス兼インナーガーデンはリビングや遊び場、ギャラリーやマルシェなど様々な使い方を想定している。
天井は高いところで8.2mあり一日を通じて彩りのある自然光が降り注ぐ。


ダイニングキッチンはエントランスから近く、庭にも出られる場所に配置。収納は壁柱の間に配置し物があふれない様に計画。
両親との共有庭に繋がる場所に2.5m幅の開口を設置。季節に応じて外で食事をする。



薄い床で仕切られた上下階。建物の幅が狭いため梁を必要としない床だけの構造。
どの部屋にいても3つ以上の居室と繋がり家族の気配が感じられる。



浴室は反射光によって居室の突当りが明るくなるように計画。自然光は姿を変えて同時に多様な風景を作る。
子供用学習スペースは空が眺められる位置に計画。遠い目標に向けて勉強に励むように(笑)


厚さ55mmのT型構造体が910mm間隔で並び梁の間から自然光が注ぐ。
子供用就寝スペースは3〜4畳程度だが視界は13m先まで広がる。プライバシーが必要になった際は布によって仕切る。



薄い構造体によって空間は緩やかに分節されながらワンルームの気積を共有している。
天井は高いが冬場、暖房を使用せずに14度程を保っていて驚いた。ガスヒーター1時間程で十分暖かい。
吹抜けは寒いと思われるが壁面積と開口の組み合わせによって解消可能であるという実験結果。



■見学可能|設計依頼をご検討されている方は予約の上、内部の見学が可能です。

※面識のない同業者の見学はお断りしています。

■計画概要

作品名:竪の家

所在地:愛知県豊田市

主要用途:専用住宅+ギャラリーなど

家族構成:夫婦+子3人

設計:佐々木勝敏建築設計事務所

構造:寺戸巽海構造計画工房

造園:株式会社 園三 

施工:有限会社 豊中建設

主体構造:木造在来工法

階数:地上2階+ロフト

軒高:7440mm

最高高:8040mm(平均地盤面より)

敷地面積:184.00u

建築面積:54.60u

床面積: 1F -   54.60u 
       2F -   47.64u
     延床 − 102.24u

設計期間:2014年5月〜2017年5月

施工期間:2017年6月〜2017年12月


住まいの風景:随時更新